06

 今日も今日とて刃さんに着いてまわっている。今日の星はスターピースカンパニーとの交流すらほとんど無い閉鎖的なところで、指名手配犯の刃さんと一緒に、平和にぶらつくことができている。はっきり言って、ただ遊びに来ているだけだ。今日は任務も無い。けれど私と刃さんがこの星を訪れるのは、エリオさんの未来には必要なことらしくて、その通りにしている。
 閉鎖的な星というだけあって、文化が独自に発達している感じがある。どの星もそうなのだけれど、外交をしていない分、煮詰まっているというか。こういう星は他にもあるらしい、ヤリーロ……なんとか……とか。か、閑話休題。
 煮詰まった文化の食事も面白くて、あちこちで買い食いをしてしまう。刃さんのお金を遣ってしまって申し訳無いのだけれど、カフカさんに「刃ちゃんはお金を遣う機会が無いから、甘えちゃって良いのよ」と言われてしまったからには、そうなのかな、と考えるところである。たぶん、綺麗なお金じゃないんだろうことには目を瞑って。だって、指名手配犯にお世話になっておいて、今更である。……とはいえ、普通に使っちゃって大丈夫なんだろうか。足がつかないように細工とかしてあるんだろうか。銀狼さんあたりがやってくれていそうではある。
 商店街のような場所につく。あちこち目を奪われて、歩みが遅くなったり、方向が逸れたりすると、繋いだ右手を引っ張られる。これが好きで、わざわざ気を付けずに歩いているような面があった。刃さんに必要とされているのは、うれしい。それがたとえ、「俺の死」としての私でも。ちょっと、寂しいけれど。
 でも、その「遊び」がバレたのだろうか。彼の視線がこちらに向けられる気配がした。

「……こちらに来い」
「えっ、うわっ」

 そして、ぐ、と引き寄せられたのは、左肩で。右に立っていた刃さんの胸元に、頭がぶつかった。いつの間に手を放していたのかなんてもう関係無くて、顔がかっと熱くなる。──あれ、なんで熱くなるんだろ。
 疑問はそっちのけで、身体が勝手に動く。刃さんを見上げる。彼は、もうこちらを見てはいなかった。

「行くぞ」
「あ、は、はい……」

 結局、私は何もわからないまま、刃さんに誘導されるがままに歩く。
 落ち着いてきた頃、また屋台に目を向けてしまえば、刃さんは容易にそれを拾いあげて、肉の串焼きなどを買ってくれた。なんやかんやあっても面倒見が良い。慣れればいつもと変わりない。
 少しだけ、心臓はどきどきするけれど。そのことには、なんとなく見ないふりをして。知らないことにしておけば、知らないことになるから。

体温だけが甘い

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